先日の書き起こし記事のAccess Logから見る「興奮している方々」についての考察

まあ、読んでいる人全部が全部がアンチ曽野氏というわけでも無いでしょうけれど。

 

2/18~2/20 23PMまでのアクセス数:65702

 

Referring site別で見てみると、

まあ、普通です。

 

んで、次にTwitterからの流入割合で見てみますと、

 

Detailed access statistics for Twitter

 

リンク踏んだ方全部が全部彼らのFollowerでは無いでしょうけど、曽野氏が言うところの「ブログやインターネットの世界で興奮している方」というのはどうやらこのお二方をSocial Map的中心としたクラスタではないのかということを考えたら、この件の一連の狂騒はなんだったのかというところに妙に納得したので、今日は寝ます。では、次の書き起こしネタが湧くまでの間、しばらく。

 

荻上チキによる曽野綾子氏へのインタビュー書き起こし

TBSラジオでの荻上チキによる曽野綾子氏へのインタビューを書き起こしました。


2015年02月17日(火)「曽野綾子氏のコラムが波紋、改めて考えるアパルトヘイト」(直撃モード) - 荻上チキ・Session-22

 

音声は上記ウェブサイトでPodcastで配信されています。インタビューはこの中のごく一部で、白戸圭一氏によるアパルトヘイト解説のほうが価値があるのですが、本日は時間がないため曽野氏へのインタビュー部分のみの書き起こしです。

 

口述を文章化する上で、あえて編集は極力しないようにしました。そのため読みづらいかと思いますが、実際のかみ合っていない空気感が伝わればと思います。

 

誤字がありましたら、コメント欄までどうぞ。

 

 

 

 

インタビュー(14:1131:45)

 

荻上チキ(以下、荻上)

評論家の荻上チキと申します。よろしくお願いいたします。

 

曽野綾子氏(以下、曽野)

どうも、今日はありがとうございます。

 

荻上

急遽インタビューの機会を作っていただいて、本当にありがとうございました。本日伺いに来たのは産経新聞に掲載したコラムに対して、複数の団体から抗議が来ていることもあり、そのコラム執筆の経緯や思い、それから抗議に対してどういうふうにお感じになっているのかということを伺いたいと思いまして参りました。

 

曽野

ここにいる二人ともものを書く仕事ですけれども、こういう風に読んでくださいと言うことは言えないの。ですから、どういうふうに取ってもこれは自由なんですけれども、私は前半は今労働移民が日本の都合で欲しいということもありますね。それから同時に東南アジアなんかの途上国なんかのまじめなお嬢さんたち娘さんたちなんかで働きに来た、あるいは日本行ってお金稼いでお母さんに家買いたいとか、そういうのがあります。その目的が合致したらぜひ来ていただきたい。

 

私、南アに行って、今日初めて数えてもらったんです、9回くらい用事で行ってるんです。そういうときに、限りあることですけれども、向こうの人がいろんなことをおっしゃるんです、外国人として私たちが行くと。その中からやっぱり難しさとかいろいろあるんだけれども、それが今のアメリカなんかの例えばリトルトーキョーですか、リトルトーキョーがどこにあるのか知らないんですけれどもサンフランシスコ?なんか小さくなってきちゃったって言いますね。なんとか私の友達なんかはそれを元の通りに華やかなものにしたい、そうすると一種の分離してそこで独自の生活を作っていく便利さっていうものがあるんですね。私にとっては食べモノなんですけどね。リトルトーキョーに行くと昔の、あなたなんか絶対ご存知ないことね、田舎に小さな餅菓子屋っていうものがあってね、そこに饅頭やお赤飯なんかが売っているで、買いに行けるというお店があると伺いました、私アメリカとか知らないんですけれども。だから便利いいんだ、と。

 

私ここのところずっと書いているんですけれども、私の夫はくさやのひものというのが好きなんですよ。もし私たち一家がヨハネスブルグに住んでて、どなたかがおみやげにくさやのひものを持って来て頂いたらね、やっぱり躍り上がって喜んで、きっと焼きたいんでしょうね夫は、するとここはちょっとそれをやったら大変だってなことになるくらいならね、アジア人地区に住みたい、ぜひとも。そういうのがあればですよ。もう、無いのだろうと思いますけれども。

 

だから、そういうところが私気楽でいいと思うのですよね。これをいちいちね、私の方が差別されるのを望むなんて、日本語で考えたことないです。自由でね。だからチェスのクラブがいろいろなところでジェントルマンたちがチェスのクラブをするとかね、女たちだけがよって友達の家の寝室でもってファッションのことをやるとか、別々でいいと思うんですよ。そのようなことなんですよ。

 

そういう形のね、これは差別じゃない、区別なんですよ、能力のね。だから差別と区別を一緒にしないで頂きたい。私は区別をし続ける。芸術家とか、芸術、文化、学問て言うのは区別のものですからね、区別が無かったらどうにもならないんですね。それは各々が別の種類の才能ですから、差別をする必要が無いものなんです。区別であってね。差別なんかしなくたって、荻上さんがお書きになるものは比べようがないんですね。そういうものなんです。どれが上でどれが下というものではないんです。その質の区別というのが私どうして悪いのか未だにわからない。それだけのことです。そういうものがある、ちょっと矛盾するものですね、これをどうしたら社会の方々のお知恵で合理点が見いだせるか、これをやっていただかないと働きに来てくださる方々も幸福にならないし、こちらも、ああ良かったな、家族の一員になって良かったなと思えない。そこのところを何卒お願いしますということです、はっきり言いまして。

 

荻上

その事をお書きになった後に、お書きになったのが「居住を共にするというのは至難の技だ」ということをお書きになって、南アフリカの実情を知った上で、居住区だけは白人、アジア人、黒人と分けてとお書きになった。これ、先ほどの話ですと自発的に集まってコミュニティを作るという話を想定されている。

 

 

曽野

そう、ですから自発的に日本人村というものがあればいいなと思うのですよ、私は。国がやるんじゃないんですね。だから、そこに行って集まって住むと、豆大福、それから何ですか、お赤飯売ってるわけ。そういうところに私は外国だったらね、日本だったら豆大福とお赤飯に執着しませんけど、やっぱり欲しいんじゃないかな、そうおっしゃる方の気持ちもわかるんですね。

 

荻上

そのときに、アパルトヘイトが行われていた南アフリカを例に出しつつ、迎える側の国民が居住区を分けて住む方が良いと主張することが、そうした政治的なメッセージとして捉えられないかと、今回抗議が来ていると思うのですけれども。

 

曽野

思いません、私は。だって、私はね、初めて南アフリカに入ったころ1992年らしいんですね。そうするとアパルトヘイトが実際に瓦解したというのは1994年くらいだと思うのですけれどもね、マンデラはその前に自由になっていましたし、私が初めて行った時にはここに入っちゃいけないだとか、歩いちゃいけないという一番の例はガンディー(英語?一部不明瞭)に出てくるダーバンですよね。ダーバンの白人地区を歩いていて、知らないんですよ、ガンディーをね。だからいいところだったんでしょうね。静かな散歩道歩いていたら捕まってぶん殴られるんでしたっけね、細かいこと覚えていないんですけれども。それがガンディーの活動の原初的な光景なんですよね。良くわかりますよ。そういうことは私全然言っていませんよ。アパルトヘイトが終わって、スタートしたときから私は居合わせたんですよ。

 

荻上

ということは国の政策としてであるとか、法律で区分けをするという主張ではないということですね。

 

曽野

そんなことだれが考えますか、この時代。ですから、今世界的にお前はここに行って住めというようなゲットーみたいな考え方って、私考えられないんですけれどもね。

 

荻上

そうした強制的な対応はむしろ反対だということですね

 

曽野

当たり前ですよ。そんなのどこがいいんですか。全然時代遅れっていうものじゃないかと思いますけれどもね。私、体験も無いし、不自由ですよ第一。

 

荻上

朝日新聞へのコメントだったと思うんですけれども、これは曽野さんのコメントです。「私はブログやツイッターとは関係ない世界で生きてきて、今回間違った情報に基づいて興奮していることを知りました」というようなことを・・・

 

曽野

それは、私書いておりません。ちょっと待ってください。どこでしょう、ごめんなさい(ページをめくる音)

 

荻上

これは文章で寄せられたというふうに朝日新聞が報じているものなんですけれども

 

曽野

あ、間違った情報というのは分かりました。あのね、安倍政権のアドヴァイザーって言う点です。これはっきりしていただきたい、全く間違いです。ですから、世界で有名な新聞っていうことろがこういう間違ったことをお書きになるときには訂正なさって頂くべきではないかと。

 

荻上

アドヴァイザーという立場では無いということですか。

 

曽野

全くありません。それはお調べになればすぐにわかることじゃないですか?

 

荻上

朝日新聞の記事にですね、その後のプロフィール欄に131月に安倍政権教育再生実行会議委員というふうに・・・

 

曽野

それはアドヴァイザーではないですね。

 

荻上

アドヴァイザーと訳するには不適切だと。

 

曽野

不適切ですね。個人的なアドヴァイザーじゃないんですもの。まったく違いますよ。

 

荻上

今回のコラムにはですね、複数の抗議文が届いたかと思うのですけれども、そうした中ではですねアフリカ日本協議会であるとか、南アフリカの大使の方からの抗議文だとか、アフリカについて研究している日本アフリカ学会の有志から抗議文が届いていますけれども、こちらはご存知ですか?

 

曽野

いえ、大使も、あの存じ上げておりません。

 

荻上

これは確か産経新聞宛てに届いた抗議だったかと

 

曽野

まだ、頂いておりません。大使館から頂いという大使ですね、私は何も差別なんか良いなんて書いていなくて、私は区別が必要っていうことなんです。ですけれども、大使に対してお返事をしないのは失礼だと思いました、外交上。だから産経に最初の返事を書いております。その通りなんです。

 

荻上

南アフリカの駐日大使の方ですね。

一方で、アメリカ日本協議会や有志の学者の方についてはまだ把握はしていないということですか?

 

曽野

あのね、まだ私の所には何も頂いていないのですけれども、撤回せよとおっしゃっているから、撤回は多分しないと思います。何を撤回するの?

 

荻上

となれば、例えば隣人として暮らす人いてもいいということは、これは当然認めるということですね。

 

曽野

当たり前、それだから面白いんですよ、実を言うと、人生というのはね。私たちも書くことがある。

 

荻上

だとするならば、今回はどう行ったり理由で抗議が来たと思いますか?

 

曽野

分かりません。まったくわかりません。だから推測でお答えできないんです。私はあのままなんですね。まあ不味い文章だと言われればそうかもしれないなということは言えますけれども、不味い文章というのは下手くそという意味でね、しまったことを書いたという意味ではないです。

 

荻上

思想的には言われているようなことに該当しないと。

 

曽野

はい、あの区別で、差別をしなさいなんて全然言っていないんです。

 

荻上

日常の中のそうした配慮を区別とおっしゃっていると。

 

曽野

日常の穏やかなにね、そして相手の立場を持って大人げを持って認めると言うのが私は良いと思っていますよ。

 

荻上

曽野さんは僕にとっては物書きの大先輩でもあるのでご存知だと思うのですけれども、差別と区別が違うと言ったときに、こうしたフレーズを実は差別者の側が意図的にというか狡猾に使うような場合もあってしまうわけですよね。

 

曽野

だそうですね。解説していただきました。でも、私は私の言葉の使い方をし続けるだろうと思います。しょうがない、今ここで区別が差別になって、差別が区別になったって言われても私の文学が成り立たない。ですから私が死ぬのを待って頂きたい。

 

荻上

そのときの区別の内実を多くの方は知りたいと思うんですね。つまり確認したいのはアパルトヘイトのように人為的に区分けをして例えばそれを超えてきた人を・・・

 

曽野

それはもうなくなっちゃっている。問題外なんです。私のような老人ですらその国に入った時にほとんど瓦解してたんです。法的にはあと2年間続いたそうですけれども、もう瓦解していたんです。そんなものが良くて、トイレも別だとか、ガンディーのように通りもあるいてもいけないなんて私見たことも無いんですね。

 

荻上

そういうものは日本でも導入すべきではないと。

 

曽野

それそういう人がいたら、私わからないですね、想像できない。

 

荻上

ネットの反応ではですね、そうした趣旨として理解したうえでその曽野さんの意見に賛同している方もいるわけです。

 

曽野

まあ、いろいろいらっしゃるでしょうけどね。私はそれほど個性豊かな人ではありません。

 

荻上

仮に今手元に抗議文二つあるのですけれども、これをお渡ししても読むことはできないでしょうか。

 

曽野

まあ、それぐらいなら拝見します。

 

荻上

では、読んだ上で今感想頂く事ってできますか?

こちらがアフリカ日本協議会のもので、こちらが長いんですけれども日本アフリカ学会の有志一同ということで合計4枚。やはり、その物書きの話に少し戻りますと、例えば自分自身が込めた意図というものが文章にうまく反映されなかった、あるいは意図とは違う読まれ方を多くの方にされるケースというのは当然ありますよね。今回例えば南アフリカ2030年前の例を出して居住区は分けるべきだと言う書き方が、アパルトヘイトを・・・

 

曽野

2030年前かどうかは分かりません。

 

荻上

20~30年前という曽野さんがお書きに・・・

 

曽野

ええ、でも今もあるかも知れません。無いかも知れませんし、あるかも知れません。

 

荻上

はい、そうしたことを出すと恐らく少なからずの数の読者の人がアパルトヘイトの時代を出して居住区を分けると主張しているというふうに取るわけですね。

 

曽野

しょうがない。ごめんなさいって、そこは謝るべきかどうかわかりません。

 

荻上

だから、思想的にはそうした趣旨では無いから、その思想に関しては訂正する必要が無いとお感じになっているという形ですけれども、例えば真意であるとか、自分の意図はより正確にはこうなんだと今回こうやって口頭してくださっていることで・・・

 

曽野

あの、落ち着いたら書きましょう。ゆっくりね。23ヶ月だか、23年かはわかりませんけれども。そしたら書きましょう。今みたいに皆様がね、かっかしているときには私書くべきではないと思います。

 

荻上

改めて曽野さんが考えるアパルトヘイトの問題点はどういった点だったと思いますか?

 

曽野

全く分からないんです、見たことない、私。私が南アに行った時にはもう全然くずれていました。だからここは白人した歩いちゃいけない町なんかは無かったですよ。

 

荻上

私たちも文献などでしか知ることができないものもたくさんあるのですけれども

 

曽野

昔ははっきりあったようですけれども。だから何べん聞かれても分からない、私見たこともないし。だからそれがいいことだとは思いませんね。ただ、日本人が日本人らしく集まってしゃべったり同郷のものを食べたりするのは悪いと思わないんですよ。だから居住区を分けたっていいと思いますよ。ですからこういうところでも商業地と住宅地ってあるんですよ。住宅地でも商業地みたいなことやっている人もいるんだけど、一応線引きっていうのがあって誰も怒っていないでしょ?そいういうことですよ。

 

荻上

大家族主義の黒人が来たから白人が逃げ出したという説明になってしまうと

 

曽野

違います、水って書いてあります。

 

荻上

そうですね、水を理由としているんですが、その水の話を黒人と白人分けて議論している。

 

曽野

そうです。それが現実はそうだと説明されました。

 

荻上

ただし、その説明が間違っていた可能性もあって、黒人だから大家族主義だからというとそうではないですよね?

 

曽野

いえ違います。現実はだいぶ黒人の方が多いです。

 

荻上

当時の南アフリカの話と、今日本人読者に向けた黒人の話はまた別で・・・

 

曽野

ではそしたら私は無限に黒人の中のこういう人はってやっていかなきゃならないんですか? そうは思わないですよ。

 

荻上

でもそれを黒人というビッグワードで括ると、それが・・・

 

曽野

じゃあ、なんて言えばいいんですか?

 

荻上

例えばその当時の説明を受けたことを何故そのまま書かなくてはいけないかってことになるんですけれども

 

曽野

だって書いていいじゃないですか。私は旅行した中で聞いた話を書くんです。だから聞いた話以上には書いていないですよ。

 

荻上

そうですね、そのときに「黒人だから」とその人は話していたが「貧困だから」あるい

 

曽野

でも、なんで。黒人が大家族主義なんです。

 

荻上

いやあの(苦笑)、「黒人が」というのは例えば黒人ってニューヨークにも住んでいるし、他の様々な地域にいて核家族化している方もいる。

 

曽野

大体そうなんです。イエローとかホワイトとか言うよりも愛情があるんですよ。だから全部家族呼んじゃいます。私たちは見習うべきところがたくさんあります。

 

荻上

日本人も昔は大家族主義だったんですね。でも環境が変わって変わりましたよね。

最後に一点だけ確認なんですけれども、これらに、つまりアフリカ日本協議会や他の方から届いたこちら置いておきますが、これらについて返答する予定は無いということですか?

 

曽野

あの、強いてすれば、私は撤回するつもりはございません。

 

荻上

追加は時期が来たらいずれ書くということですか?

 

曽野

それもあなたにお約束できない。

 

荻上

もちろんそうです。

 

曽野

書く気になったら、その時私別の恋愛小説書いているかも知れませんし。書く気になりましたら、私、割と運命主義者なんです、自分を律して自分はこういう人間ですって言ったこと無いんです。間違ったこともするし、その時々で心が変わる人間ですから、でもどうしてもこれを覚えておいてね。書きたいと思ったら、その時静かに書かせていただきます。それだけのことです。



岡崎図書館HP大量アクセス事件について

Twitter#librahackTogetterlibrahack高木浩光氏のブログなどをつまんで見れば把握できるんですが、時系列で並んでいなかったり、専門知識が必要だったりで朝日新聞の記事だけではちょっとつらい。まとめてみた。



登場人物

  • 中川氏
    ソフトウェア開発者。 本事件の犠牲者。図書館から新着図書データを自動で取得するプログラムを開発、実行した結果、図書館のシステムが脆弱だったためサービスが停止。図書館に被害届を出され、警察に20日間の勾留と取り調べを受ける。a.k.a. librahack
  • 岡崎市立中央図書館
    図書館のシステムがDOS攻撃を受けていると(勘違い? 虚偽?)、被害届を出してしまった
  • 三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)
    図書館システムを開発。システムの脆弱性を知っていながらそれを通知、修正しなかった不作為が疑われている。
  • 愛知県警
    図書館からの被害届を受けて中川氏を20日間拘留。
  • 高木浩光
    ソフトウェアセキュリティ専門家。本事件のホームズと言ったら言い過ぎか? 有名人だから詳しくは検索してください。
  • 朝日新聞
    オールドメディアなどと揶揄される大新聞ですが、今回はマスコミとしての役割は果たしたんじゃない?



発端(〜2010年4月)
図書館の検索システムが使いにくいと感じていた中川氏は、自分専用のシステムを作るために図書館システムから自動的に新着図書データを取ってくるプログラムを開発していた。これは例えば、twitter2chから定期的にtweetやスレを読み込むbotのようなもの。アクセス頻度は「1アクセス毎に1秒のウェイト」なのでサーバー応答速度にもよるが、サーバーを落とすことが目的のDOS攻撃ではなかった。(DOS攻撃とはサーバーに故意に異常な頻度でアクセスして、サーバーを停止させる方法。)(ただし、図書館システムとしては、人間の手動による操作のみを想定して作られているので、1秒ウェイトで自動アクセスするのは想定されたものではないので、そこはtwitter botと少し違う。twitterAPIを公開しておりbotのようなアクセス方法を許容している。)

中川氏はプログラム開発中に図書館システムがエラーを返してくることに気づいたが、まさか自分のプログラムが頻繁にシステムを停止させるという深刻な事態を起こしているとは考えなかった。



被害届(4月15日)
システムが停止することについての市民からの苦情を憂慮し、図書館愛知県警に被害届を提出。



逮捕(5月25日)
中川氏偽計業務妨害罪の疑いで愛知県警に逮捕される。要するに、図書館システムにアクセスするプログラムがDOS攻撃をしているとみなされた。



不起訴処分(6月14日)
中川氏は、不起訴処分(起訴猶予処分)となる。中川氏は自身のブログ(librahack.jp)で事の顛末を公開し、この頃からTwitterを中心として議論される。氏本人は割と冷静に淡々とし、「警察や検察の方々には感謝」、「一応集結」と事件は終わりかと思われたが・・・



追跡(7月〜)
7月10日に自身のブログで本事件の見解を述べた後、ぷっつり更新が途絶えていたけど、高木氏は徐々に外堀を埋めていた模様。

そして、
http://twitter.com/hiromitsutakagi/status/20215404571


チェックメイト。しばらく黙ります。」(8月3日)



真相(8月21日)
朝日新聞が冒頭の記事を公表。朝日新聞の神田記者twitter上で取材の経緯を公表。同時に高木氏も調査結果を自身のブログに公開。

ちょっとこの記事はソースコードとか出てきて技術的に難しいんで、簡単に説明します。

  • 三菱電機IS(MDIS)の図書検索プログラム「WwKensaku.aspx」を、Googleで検索してみた。
  • 他の図書館のサイトが見つかった。(同じくMDISが開発したシステム)
  • 間抜けなことに、パスワードがかかっていない状態で中身が見えた。
  • ソースコードを追っていくと、まるでプロが書いたとは思えない直しやコメントが・・・ってそんなことはどうでも良い。ソースコードを読むと、2006年3月から2007年2月の間にシステムが停止してしまう本事件と同様の問題を修正していたことが分かった。つまり、本事件の原因が自分たちが作ったシステムにあると、MDISは把握していたはずだ!




あらすじはここまで。長くてすいません。



どうしてこうなった

図書館側のITに関する無知、無関心と危機管理の欠如から来る、開発保守会社へのオンブでダッコ的な依存が背景にありそう。多分、被害届けを出すまでにこういうやり取りがあったと思われる。


図書館:「なんだか、よく分からんけど、お前が作ったシステムしょっちゅう止まるんだけど?」
MDIS:「調べました。なんか頻繁にアクセスしている奴がいます。うちのせいじゃありません。」
図書館:「おk、被害届出そ。」

誇張じゃなくて、多分本当にこの程度だったのかもしれません。
こういった話もありますね。


図書館の責任者が非番の岡崎署警察官に「なんだろうねこれ」という感じで相談 → 翌月、愛知県警
のサイバー課が図書館に被害届を出すよう促す → 図書館に言われるがままに三菱電機ISがログを抽出
して提出(何も口を挟まずに) という流れのようです。



じゃあ、MDISは? 高木氏の調査の結果、システムの不備を認識していたはずなので、あり得るのは

  • 情報共有の不備で横展開していなかった。そのため、担当者が知らなかった。
  • 責任を逃れるため、中川氏に罪を押し付けた。

前者だったら、CMMIレベル5CMMIっていうのはソフトウェア業界の認証でレベル5は最高を意味し、NASAや軍の案件を受注できるレベル)が泣く、後者だったらもっと悪質。しかし、MDISともあろう企業がどうしてこのような対応をしたのか全く理解に苦しみます。本事件のアクセス頻度がDOS攻撃でないのはそれを専門としている彼らなら分かるはずでした。単純に「開発当初の要件を超えるアクセス率なのでバグではありません」って言えば良かっただけなのに。
被害届提出に関してMDISの意思が関係しているのか明らかではなく、前述の高木氏のtweetからすると愛知県警から促される形で図書館は被害届を出したとのこと(それだけでも十分浅はかですけど)。しかし、少なくとも20日間の間、被害届取り下げの動きは無く、ひっそりとシステムを改善して有耶無耶のうちに隠蔽化するつもりだったのでしょう。



ちなみに、図書館側はこの期に及んで、こんな頓珍漢なことを言っている。いまだにMDISの言うことを鵜呑みにしているんだな。


岡崎市立図書館長の発言の件ですが、館長は「(librahack氏のプログラムに)違法性がないことは
知っていたが、図書館に了解なく繰り返しアクセスしたことが問題」としているそうです。


図書館の大羽良館長は「通常の利用者とは違う方法で大量のアクセスがあり、想定していなかった。
図書館には非がなく、男性のプログラムの方法がまずい」と話している


大羽良・同館長は21日、同市役所で報道陣に対し、「(男性の自作プログラムに)違法性がないことは
知っていたが、図書館に了解を求めることなく、繰り返しアクセスしたことが問題だ」と説明した。
(中略)
ホームページが閲覧できなくなったことについて、大羽館長は「図書館側のソフトに不具合はなく、
図書館側に責任はない」との認識を示した。

本当はMDISにオンブダッコでわかりませ〜んなんだけど、そんなこと立場上言えないからこういう答えになるんですね。MDISのページには、こんなに誇らしげに紹介されちゃってるしねぇ。

正しい答え方は以下のいずれか、

  • 「お陰さまで図書館利用者が増えており、当初想定していた以上の利用数、利用方法のアクセスがあった。次期システムではシステム信頼性を改善し、より多くの利用者の期待の答えます。」
  • 「すべての責任はシステム設計者のMDISにあります。」
  • 「調査中です」で逃げつつ、MDISの責任とするために高木氏から情報提供を受ける

ちなみにこの図書館側の言動は専門的には「IT版ストックホルムシンドローム(笑)」と呼ばれるものです。



愛知県警もお粗末で誤認逮捕と呼ばれても仕方が無い。警視庁か京都府警ならIT犯罪にも精通しているだろう。
神田記者の取材によると、中川氏がDOS攻撃をしていたのではないことを警察は把握していたというがなぜ20日間も拘留する必要があったのか明らかになっていないように思う。


なお、捜査関係者の話では、警察・検察とも1勾留を過ぎた時点くらいでは、librahack氏がサイバー
攻撃を仕掛けていたわけではないということは認識していたそうです。



今後の展開ですが、企業間のシステムの受注ならばシステムに不備があった場合、発注者が受注者に対して請求をする(例えば、東証富士通を訴えたりする)ところですが、お役所ですから積極的には期待しにくいですね。上記の館長の発言からしても関係ズブズブっぽいですし。期待できるとすると、中川氏名誉毀損なりで図書館を訴えることです。さすがに訴えられれば図書館も責任の所在を明らかにしなければいけなくなります。

でも、氏のブログとか読んでも、告訴とかいう雰囲気じゃ無いんだな・・・。

このまま、有耶無耶にやってしまったらbotすらも気軽に作れなくなるよ。



最後に、高木△



追記:

デキビジ 勝間和代 VS ひろゆき (説教編)

ゲストにまさかの説教です。

http://www.youtube.com/watch?v=kyxMpFuInSk
(5:31〜)

(ここから)---

勝:なんか、すごくね、今日ね、すごくね、私ね、いろんな人とさんざん対談してきたんですけど、はっきり言って、のべ多分100人くらいの中で一番やりにくかったんです。

ひ:(笑) ありがとうございます。

勝:最っ高にやりにくかったんです。

ひ:すいません、なんか社会経験足りなくて。

勝:で、なんか何が原因かなっていうのをこう考えたんですけれども、あのですね、

ひ:僕の能力不足のせいです・・・

勝:いや、違います。何か言ったときに対して、すごくそのひろゆきさん防衛してそれに対して反撃する、しかもそれを見下すような反撃なんですよ。これが何かね夫婦喧嘩と全く一緒なんですよ。

ひ:(笑) ああ、そうですか。僕は勝間さんのことが好きなんだ!

勝:いや、違う違う違う。夫婦喧嘩とはどういうことかというと、お互いのポジションを取って協力しようというよりは、どっちの方が自分の関係性において良いポジションを取ろうという形でですね、このお互いの揚げ足取りじゃないんですけれども、

ひ:いや、でも僕結構質問していると思うんですけれども、

勝:でもその質問の仕方が明らかに、「僕の言っていることは正しいけれども、あなたの言っていることは間違っている」みたいなこういう(ジェスチャーで上から下へ)ように聞こえるようなニュアンスの質問をお互いにしちゃってるんですよね。

ひ:へぇ〜

勝:だからその結果としてですね、どんどんですね、議論が先鋭化していくんですよ。

ひ:お互いにしているってことは、じゃあ勝間さんも実は僕と同じタイプってことですか?

勝:いや、違います違います。それを誘導しちゃうんですよ、それをお互いがやればやるほど。

ひ:へぇ〜(苦笑)

勝:なのでその、相手のことを理解した上でちゃんとした事実を中心にこう議論をしていかないと、価値観とニュアンスの中でお互いがお互い言いたいこというとこういう対談になるだなということが私が凄く今日分かりました。

ひ:でも僕事実の話をしていると思うんですけどね。

(ここまで)---


途中で、ひろゆき氏の「あ〜、はいはい」っていう相づちが結構入っているのですがはしょりました。

ろくに推敲していませんので、間違いあったらコメントください。よろしくおねがいします。

デキビジ 勝間和代 VS ひろゆき (幸福度編)

http://www.youtube.com/watch?v=kyxMpFuInSk
(1:40〜5:30)

(ここから)---
勝:あの、ちょっと分かってきたんですけど、

ひ:はいはい

勝:要はですね、ひろゆきさんそんなに社会全体の仕組みとか構造とか、あるいは何がどういう因果関係があってどういうふうに動くとかあんまり興味ない。

ひ:いや、でも僕今、因果関係で説明していると思いますけど。

勝:因果関係ですけど、今本当に若者は今現在の生活に満足していて、

ひ:別に満足しているかどうかと、

勝:日本の中で幸せで、起業しなくても幸せで、多少失業率が高くても

ひ:先生すいません(笑)、起業しないと幸せになれないんですか?

勝:起業はとりあえず放っておいて良いです。

ひ:ああ、はいはい。

勝:若者は今の現状の中で幸せなんでしょうか。

ひ:自分は幸せだと思う選択肢を取っているだけで、起業するというのは幸せになる選択肢ではないというだけだと思いますよ。

勝:でも今現在若者と呼ばれる若年層の人たちというのが閉塞感を感じているような、

ひ:それは歳取った人も感じてるんじゃないですか?

勝:じゃあこれは何故ですか?

ひ:だって世界経済不況じゃないですか。

勝:でも日本だけが特に不況ですよね。

ひ:ん〜。特に不況って、その感覚値の問題なので、

勝:いや数値の問題として

ひ:確かに経済としての不況は数字になりますけど、そのどれくらい不幸なのかっていう不幸さっていうのは個々の主観の問題なので

勝:不幸も全部これ統計データを取る限り日本は様々な幸福度調査において必ず下位ですよ。

ひ:ええ、だからそれは本人たちがそう言っているわけで、じゃあそのジンバブエ人とどっちが幸せかと言ったら、日本の方が割と幸せだと思いますよ。

勝:そこがまさしく議論としてあって、例えばジンバブエに対して日本が食料供給も政治供給も安定しているにも関わらず、同じくらいのいわゆるOECD諸国比べて不幸せなわけですよ。

ひ:ええ。そのなんか要は、不幸せだというように言いたがる人種だとは思うんですよ。じゃあ、実際に10代の人が携帯電話持って、でなんかバイトして結構なんか10万円くらいするカバン買ってとか言うのって、他の国ではありえないことじゃないですか。でも、それに対して驚きもしない、で女の子が夜中の12時に街うろうろ歩いてても別に襲われないし、「うわ、襲われるよ大変だよ」ともならないっていうのは凄く幸せなことで、でそれは世界中で日本でしか起きないことなんですけど、でもそれが幸せだって日本の人知らないじゃないですか。

勝:幸せにはいくつかファクターがありまして、昨日より今日、今日より明日が良くなるとか、自分の能力が自分の最大限発揮されてそれに対して、まさしく家族ができて友人できて社会が喜んでくれるとか、様々な私たちの幸福度を左右する物があるんですけど、そういうものに対して、あまり少なくとものこの10年、20年を見た場合に若者達の状況が良くなっているとは思えないんですけれども、

ひ:そもそもそのファクターが、勝間さんのファクターで、他の国だと死なないとか襲われないとかレベルから幸せが始まっているのに、日本ってそれは当たり前だよね、でその上って話になって

勝:だから、OECD諸国と比較しているんですよ。ジンバブエと比較していないです。

ひ:OECD諸国でも、じゃあオランダで夜中に女の子一人で歩いてたらやっぱり危険だって言われますよね。

勝:まあ、それはオランダの場所によるでしょうけどもね。

ひ:ええ、日本の歌舞伎町でも女の子一人で歩いてても、別にそこまで危険って言われないじゃないですか。

勝:でもその分それは安全の方にコストをかけていて、他の例えば安全をぎゅうぎゅうすると、そのアントレプレナーリーダーシップだとか規制の方がですね、弱くなるわけですよね。

ひ:あ〜はいはい。

勝:それを全てある意味日本人の選択であって政治をそういう風に選んじゃっているという判断で良いんですか?

ひ:いや、だから僕は水と安全が確保されているということが大事で、で後は別になんか給料が低いとかって言うのは生きていく上でそこまで重要ではないと思うんですよ。

勝:でも給料低いと、少なくともその所得に対しての幸福感というのは結構大きくて、

ひ:だって経済の問題より、水と安全って言う命の問題の方が先じゃないですか。それがクリアできているだけで日本は結構優秀だと思いますよ。

勝:でも、それは何十年も前からクリアできているわけですよね。

ひ:ええ、でも他の国はクリアできて無いじゃないですか。アメリカだって今、皆保険になるかどうかでよやく揉めている段階で。

勝:でもそれを他の国と比較した場合に幸せだから、じゃあ10年前、20年前よりも不幸せで良いという議論になっちゃうんですか?

ひ:別に構わないと思いますけど。そんななんか、いつでも世界中でトップレベルで幸せにならなきゃいけないっていう方がおかしいと思いますよ。
(ここまで)---

デキビジ 勝間和代 VS ひろゆき (若者の起業編)

http://www.youtube.com/watch?v=gqduJqJuQUs
(4:58〜)

http://www.youtube.com/watch?v=kyxMpFuInSk
(0:00〜1:40)

(ここから)---
勝:若年層の人たち、若い人たちが今なかなかですね、こう少子高齢化の中で元気が無いといわれているんですけども、若い人たちが元気になるためにはどうしたらいいですか?

ひ:元気にならなきゃいけないんですか?

勝:そこですよね、やっぱり。困ったんですよ。実はテーマとして雇用促進というのを話そうか、若者に対して起業をもう少し促進することをどうやったらいいかということをですね、議論にしようということを予定していたんですが、

ひ:会社側が求人出してばんばん雇えばいいんじゃないですか?

勝:は?

ひ:雇用促進ですよね?

勝:じゃ、例えば若い人たちが起業したいと思う・・・

ひ:いや、金持っているのは歳取った層ばかりなんだから、歳取った層が自分で若い人雇えばいいんじゃないですか。なんで若い人が起業しなきゃいけないんですか?

勝:若い人は起業しなくていいんですか?

ひ:したければすれば良いと思いますけど。

勝:ひろゆきさんは今、2ちゃんねるというのは起業だったんですか?

ひ:いや、あれ趣味ですけど。

勝:じゃあ起業はしていない、今も?

ひ:まあ、会社は大学のときに作りましたけど。

勝:起業しましたよね。その会社今どうなったんですか。

ひ:ペーパーカンパニーとして細々とやっていますけど。

勝:じゃ、起業は若い人たちはやりたければすれば良いという発想ですか?

ひ:ええ、当然。

勝:じゃあ逆に今起業する人たちが、例えば堀江さんがああいうことになって結局起業ブームが一回あったけれども、こう起業してもなかなかうまくビジネスに繋がらない、得じゃないみたいな風潮が出てしまっているような風潮があるような印象が私にはあるんですけれども。

ひ:風潮がどうこうじゃなくて儲かるんだったら、まあ例えば歳取ってる人の方が社会経験もあってお金も持っているわけじゃないですか。だから歳取った人が起業すれば良いだけで、なんで若者に起業させようとするのか分かんないですけど。

勝:起業しなくても良いということであれば、逆に若い人たちはずっと高齢者の人たちが作ったビジネスの下で粛々と仕事をしていると良いんでしょうか?

ひ:起業したければすれば良いと思いますし、起業したくなければしなくてもいいと思います。それは選択の問題なので若い人が勝手に決めればいいんじゃないですか。

勝:若い人たちが起業する自由というのが今どんどん減ってきていると思いませんか?

ひ:いや、自由はあるんじゃないですか。起業を制限する法律とかあればそれは自由は無いと思いますけど、年齢制限無いじゃないですか。

勝:実際規制とかが日本の場合はかなり高いですよね。

ひ:いや、年齢による規制は無いですよね?

勝:いや、年齢による規制ではなくて、新規ビジネスをやろうと思った場合に小規模で事業を始めようとした場合に、例えばアメリカと日本で比べて同じビジネスアイデアを持っていた場合に、どっちの方がエンジェルが集まりやすいかというと、

ひ:いや、エンジェルなんか集まるのってほとんどないですよ。日本で中小企業10万社とかありますけど、エンジェルつきましたって多分1000社も無いんじゃないですか。そんな少ない例を出してあたかも言われるとちょっとどうかなと思いますけど。

勝:じゃあ、エンジェルではなくて例えば1000万円くらいの資本で起業した場合にどうでしょう。それはもうほとんどハードル同じということですか?

ひ:1000万円持っているっていう時点でもう若者じゃないと思いますけどね。

勝:じゃあ、借り入れにしましょう。

ひ:1000万円借りれる若者なんていないですよ。

勝:そうですよね。そういう話です。だからみんなエンジェルを探したりVC(ベンチャーキャピタル)を探したりするんですよね。

ひ:いやいや、日本にある会社でVCとかエンジェルとか付く会社なんてほとんどないですよ。

勝:あとは死ぬ気で貯めますよね、小資本で数百万円とか貯めて小さな事務所を借りたりして、

ひ:普通って会社とか入って、例えばなんか会社の仕事をやって、その職種とか知り合いとか取引先を連れてって独立するとかありますけど、なんもないところで1000万集めて会社作りますとか普通って、ちょっとおかしくないですか?

勝:普通とは言ってないです。

ひ:あ〜、だからそれを例として出すのはちょっとずれていると思う。

勝:じゃあ逆にですね、企業勤めをして何かビジネスチャンスを見つけて、賛同者を募って独立する、このパターンは今までとまだまだ変わっていないということですか?

ひ:いや、それが一番安全じゃないですか? だってもともと回っているその職種、取引先、お客さんがいて、それをずらすだけじゃないですか。

勝:でもその中でもう少し議論を深めますと、ここ20年間で例えば新しいベンチャービジネスとして建った会社、例えばあの時価総額の上位何十社とか見ますとソフトバンクくらいしか新しい会社として建ってないわけですよ。それはそれで良いんですかね?

ひ:だって孫さん優秀ですからね。あんな、孫さんほど優秀な人いないっすよ、あんまり日本に。

勝:でも逆にある程度アメリカとかに比べますと新陳代謝が遅いという傾向があるわけですよ。それはもうそういうものだから仕方ないと?

ひ:いや別に新陳代謝とか、要は良い商品を作ればお客さんは買うけど、お客さんがいらないから買わないわけで、でそれは別に社会がどうこうじゃなくて必要な物を作っていないってだけだと思うんですけど。

勝:では必要な物を作っていないので、若者の起業が少ないことが問題ではないということですか?

ひ:ええ。だって需要があって、それを老人が作ろうが若者が作ろうが、欲しい人は別に作者がだれかなんてどうでもいいわけでじゃないですか。今だってシャネルの商品をシャネルのデザイナーが誰かなんて分かってないで買ってるじゃないですか。

勝:じゃあ日本は何故ですねそういったような、新製品ですとか、起業とか成長ができないのでしょうか?

ひ:大企業が優秀だからじゃないですか?

勝:そこがね、私と価値観の違いだと思うんですよ。私はね大企業がちっとも優秀じゃないと思ってるんですよ。

ひ:いや、大企業は商品を毎年出してますよ。例えばポッキーとか毎年変わってるじゃないですか。

勝:正確に言うと大企業は優秀なんですけれども、ある程度の一つの枠組みの中での競争ではものすごく優秀なんですが、そのサラリーマンとしての、その枠組みを超えたようなビジネスが出てこないのが日本の停滞の一つ・・・

ひ:いや、例えば缶ジュースっていうのを若者が作っても、大企業が作った缶ジュースほど売り上げあげられないと思いますよ。

勝:若者は大企業の中でビジネスアイデアをもっともっと採用されて作ってもらう方が効率的ですよね。

ひ:いや別にそれでも良いですし、別にその大企業の缶ジュースよりも良い缶ジュースを作れる若者がいれば、それは缶ジュース作って売れば良いと思うんですよ。

勝:でも、缶ジュースの市場に参入するのにそれこそ100万、200万じゃ全く無理ですよね?

ひ:はいはいはい。

勝:その場合に、だってできないじゃないですか?

ひ:いや、でも缶ジュース自体は作ろうと思えば安く作れますよ。で、その別に日本中に配ろうと思わないで、じゃあ知っている商店だとか知っているコンビニに入れてもらうとかっていうので、徐々に広げていくのは不可能ではないと思いますよ。

勝:でも、例えば今一本缶ジュース120円くらいですよね。で原価率考えると1本儲って、ディストリービューション考えるとせいぜい50円、60円マックスしか儲らないと、それをそれこそ何万本という単位で売らないとできないことを考えると、やっぱり今現在若者が小資本で缶ジュースの資本に入るのは現実的な解ではないですよね。

ひ:まあ、缶ジュースは例として出しましたけど。それだったらやっぱり大企業が大資本で安く提供できているわけだから、大企業の商品生産能力って高いからすごいよねっていう話で良いじゃないですか。

勝:でもその割には、

ひ:だって、みんな缶ジュース安くおいしく飲めて良かったと思っているわけだから。
(ここまで)---

デキビジ 勝間和代 VS ひろゆき (ネットの匿名性編)

デキビジで放送された勝間和代氏とひろゆき氏の対談がtwitter界隈でちょこっと盛り上がっているので見てみたら、面白いので文字に起こしてみます。ちょっと長いのでテーマごとに分けて。

文字起こしはYouTubeの画像をもとにしましたが、その前の議論が抜けているようです。抜けている部分の議論の概要を高木浩光氏(@HiromitsuTakagi)がtweetしています。
こちらをあらかじめ読んでおくと話が繋がりやすいかもしれません。
http://togetter.com/li/18518

http://www.youtube.com/watch?v=gqduJqJuQUs
(0:00〜4:32)



追記(2010/9/2):

ひろゆき氏、勝間和代氏、堀江貴文氏の対談本が出たみたいですよ。


(ここから)---
勝:どうやってインターネットの中である程度のルールをもって確保するような環境を作りたいかということなんですが、

ひ:それは教育じゃないですか。人がどう考えるかであって別にサービスの提供者がやることではない。

勝:そこですよそこ。

ひ:個々の人間だどうするかっていうのをなんでサービスの提供者の責任にしているのかっていうのが僕わからないんですよ。

勝:そこですよね。だからそこが多分私とひろゆきさんの議論の大きな分かれ目で、私はある程度サービスの提供者が場を作ったときにはそこのルールを規定しないと荒れてしまうと思っているんですよ。

ひ:荒れるってどういう意味ですか?

勝:実際2ちゃんねるで非常に有益なスレッドもあって面白い議論もあれば、まさしくその、なんでしょう、鬱憤ばらしのための批判であるとか揚げ足取りであるようなスレッドもたくさんありますよね。それは正しいですか、認識として?

ひ:社会ってそんなもんじゃないですか? 居酒屋とか行ったらみんなそんな話しているじゃないですか。

勝:ただそれが、陰口が、ある程度インターネットは私は拡声器だと思っているので、いいことも悪いことも増強されますよね。

ひ:ええ。

勝:で、実際その悪いことに対して、例えば、私がやっているクロストークというコーナーでは基本的に新聞に対する言論ということを実名、もちろんそれが本当に戸籍名なのかという議論はありますけども、ファーストネームとラストネームをきっちり書くような形でお願いしているんですよ。

ひ:で、ファーストネームとラストネームを書いて、誹謗中傷を書いた人がいました。でも結局書いた人が誰だかわかりませんって言う方が問題じゃないですか?

勝:それはIPアドレスがまさしく請求をして開示して辿ることは可能ですよね。

ひ:ええ、だからそういうのがトレーサビリティとしてあれば十分であって、別にその山田太郎って名前なのかジョナサンなんちゃらっていう名前なのかなんてどうでもいいことじゃないですか。

勝:コストの問題なんですよ。例えばそこらへんに道にゴミを捨てる人がいますと。ゴミはゴミ箱に捨てる方が良いですよね。

ひ:さっきのクロストークの話で山田太郎なのか名無しさんっていう名前なのかコスト一緒ですよ。

勝:名無しさん山田太郎であればそれが匿名である蓋然性が非常に高くなりますよね。戸籍名が名無しさんである可能性が低いですよね。

ひ:だから?

勝:だからコストの問題だと言っているんです。

ひ:コストはIPアドレスを請求して、その人が誰か調べるコストは全く一緒ですよね。

勝:だから、そこに行く必要があるかどうかを判断するコストとして、

ひ:ん、行く必要があるコストって何ですか・・・?

勝:IPアドレスの請求までする必要があるかどうかという・・・

ひ:いや、それは書いた物がIPアドレス請求する必要があるんだったら、名前はもうどうでもいいじゃないですか、名無しさんでも山田太郎でも。

勝:そんなことないですよ。そこのコストの問題をやはり議論したいのですよ。

ひ:いや、コストは一緒ですよね。

勝:一緒じゃないですよ。私が例えば・・・

ひ:いや、プロバイダに請求するコストは一緒じゃないですか。

勝:だからそれは2日とか待たなきゃいけないですよね。

ひ:いや、じゃそれが山田太郎になっていたとしても、その山田太郎がどこの誰だか分からないですよね。

勝:じゃあ、訊きますよひろゆきさん。ビジネスしますよね。ビジネスしたときにひろゆきさん名刺渡さない。

ひ:いや、今日はたまたま忘れましたけど、持っているときは渡しますよ。

勝:ですよね。じゃあ名無しで良いんですか、名前も名乗らずに・・・

ひ:今、全然違う話していますよね?

勝:いや、違います。リアルではちゃんと名前名乗って自分がどういう人だかを開示して相手の信頼を得ようとするのに、何故インターネットだけ匿名で良いんですか?

ひ:別にインターネットでも名前名乗りたい人は名乗れば良いと思いますよ。例えば、僕スタッフといろんな人と会っていますけど、名前言って会話した人って多分4、5人で、あとのスタッフ誰も名前を知らないですよ。

勝:それはクローズドだからですよ。この環境がテレビ東京天王洲スタジオというところにいるわけですから、明らかにこのデキビジの制作関係者しかいないということがある程度担保されている上での・・・

ひ:じゃあ例えば公開のイベントやっているときにスタッフか一般の人かわかんないじゃないですか。それ全部名刺交換するんですか?

勝:インターネットの話をしているんですよ、今は。

ひ:インターネットの話はインターネットの話をしてください。なんか、今リアルの話にしたの勝間さんですよね。

勝:いや、リアルの話に対してインターネットが写像(捨象?)であるということに、何故ですね・・・

ひ:シャゾウ? 何ですかシャゾウって?

勝:だめだこれ(笑)。

ひ:ああ、すいません。なんか、言葉知らなくて。

勝:あの多分ですね、

ひ:なんか、あのよく分からない、例えばシャゾウって言葉の意味僕知らないんですけど、一般的にもそんなに常識的な言葉じゃないですよね。それを持ち出してダメだこりゃって言われても、確かに僕ボキャブラリ少ないかもしれないけどそれをなんか呼んだ人に対して失礼じゃないですか?

勝:違いますよ。私が言いたいのはですね、私とひろゆきさんの価値観とかポリシーの違いがあってそれに対して何か議論をこう二人で戦わせようとするとお互いに自分のフィールドに逃げてしまって、余計こう例え話が始まるんで。

ひ:逃げてないですよ。じゃあ、さっきのインターネット上の名前の話でトレースできるかどうかは名前と名無しさんでもコスト一緒ですよね。はい、いいえで答えてください。ようはプロバイダに対してこういうことがありました、トレースして住所を知りたいかっていうコストは一緒ですよね。はい、いいえどちらですか?

勝:言います。トレースを必要とする場合には、はい。ただ、トレースを必要とするかどうかの判断がその前にあるますので、その分のコスト軽減されます。

ひ:じゃあ、山田太郎って書いて誹謗中傷しているのと、名無しさんで書いてて誹謗中傷しているので、内容は一緒ですよね。

勝:どちらもトレースを請求します。

ひ:ああ、はい。じゃあ一緒じゃないですか。

(CM)

(ここまで)---